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中田清穂のIFRS徹底解説

第17回 「中国子会社の決算期ズレへの対応方法」

IFRSを適用する際の大きな課題として、子会社の決算日を親会社の決算日に統一させなければならないというものがあります。

まだ、IFRSをきちんと理解していない会計監査人などは、「IFRSでも、3か月以内のズレは容認されている」とか「だから、従来の日本の会計実務と変わらない」といった発言をしているようです。

3か月以内のズレが容認されるのは、「実務上不可能」な場合です(IAS第27号第22項)。 それから、子会社に重要性がない場合も簡便的な対応として容認されると思います(概念フレームワーク)。
ちなみに、期ズレの個別財務諸表を用いた場合には、その理由を注記する必要があります(IAS第27号第41項c)。
重要性がない場合には、この注記も必要ないでしょう(概念フレームワーク)。

「実務上不可能」というのは、「あらゆる合理的な努力を払ってもできない」ことを言います{IAS第1号第7項}。
日本の会計慣行とは違いがあるのです。日本では、何の努力も必要ないのです。
結局、今は問題ないと言っている会計監査人も、いずれ監査法人内での理解が深まり、適切な対応をするような動きになると、前言を撤回し、決算日を統一するように求めてくることが予想されます。

ところで、中国では、日本のように自由に決算日を決められず、決算日を12月31日にするしかありません。
ですから、会計実務的には、親会社と同じ日で「仮決算日」を設定し、この親会社と同じ「仮決算日」での財務情報の提供をしてもらうことになります。

では、中国子会社の決算日を親会社の決算日と同じ日にするための努力には、どのようなものがあるでしょうか。
親会社と同じ日での「仮決算」を行ってもらう方法として、一般的に、以下のようなものがあげられます。

 1.決算業務改革(決算早期化)を推進させる
 2.人員を増強する
 3.システム投資を行う
 4.現地経理業務を外部委託(アウトソーシング)する
 5.監査人を大手会計事務所に変更する

以上のようなあらゆる手立てを講じても、親会社と同じ日での「仮決算」ができないとなると、「実務上不可能」だということが、会計監査人に対して主張できるでしょう。

実はこの他に、極めて現実的かつ効果的な方法があります。
それは、「お金で解決」する方法です。

日本でも同じですが、決算スケジュールがタイトになってくると、残業や休日出勤(休出)で対応することになります。
中国では、そのための「手当」を支給すれば、積極的に対応してもらえるケースが多いようです。実際に、従来米国基準で連結決算を行ってきた企業では、子会社の決算日を親会社と同一の日に統一するために、「特別手当」を支給することで対応しているケースがあります。「特別手当」での対応は、現地従業員だけでなく、現地会計事務所にも実施すると、非常に効果的のようです。
これができれば、前述の①~⑤の対応は必要なく、「現地の頑張り」で乗り切れることになるでしょう。

聞いてみればあっけない話ですが、妙に納得できる話ではないでしょうか。

以上

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第3回 「現在の決算手続きに影響を与えかねない経済的耐用年数の決定」
第2回 「経済的耐用年数のあの手この手」
第1回 「有形固定資産(初度適用)のみなし原価の実務対応」

著者プロフィール

中田 清穂(なかた せいほ)
青山監査法人にて米国基準での連結財務諸表監査に7年間従事。
旧PWCに転籍後、連結経営システム構築プロジェクト(約10社)に従事。
その他に経理業務改善プロジェクトや物流管理プロジェクトにて、現場業務の現状分析や改善提案に参画。
旧PWC退社後、DIVA社を設立し、取締役副社長に就任。DIVA社退社後、独立。