SSUGは会員の自己研鑽と相互の新睦を目的とする団体です。

税務会計業務のポイント

第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

■復興特別所得税の概要
復興特別所得税が2013年(平成25年)から課されることになります。この税は、東日本大震災からの復興施策を実施するため、必要な財源を確保する目的で創設されたものです。復興特別所得税が増税される期間は、2013年(平成25年)から2037年(平成49年)までの四半世紀、25年間となります。その税率は2.1%です。

復興特別所得税は、所得税の税額(基準所得税額)を課税標準とする「付加税」の仕組みをとっています。つまり、所得税額に2.1%を付加し、102.1%相当の税額を納付することになるのです。

■源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額
源泉徴収すべき復興特別所得税の額は、源泉所得税額に2.1%を付加した税額です。
実際には、源泉徴収の対象となる支払金額に対して、所得税と復興特別所得税の合計税率を乗じて計算した金額を徴収し、1枚の所得税徴収高計算書(納付書)で納付することになります。

■給与等に係る所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
給与や賞与についての源泉徴収すべき金額は、税務署が配布している「平成25年分の源泉徴収税額表」に基づきます。
「平成25年分の源泉徴収税額表」は、国税庁ホームページにも掲載されています。この税額表は、復興特別所得税を含んだ税額に変更されているので、平成24年分以前の税額表を使用しないように注意しなければなりません。
給与計算ソフトを使用している場合は、ソフトウェアのアップデートをし、税額表どおりに計算されているか確認しておく必要があります。

■報酬等に係る所得税及び復興特別所得税の源泉徴収

源泉徴収の対象となる報酬や配当についても、支払金額に対して所得税と復興特別所得税の合計税率を乗じて計算した金額を徴収し、納付していくことになります。

【源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額】


支払金額 × 合計税率(%)(※) = 源泉徴収すべき所得税および
復興特別所得税の額

(注) 算出した所得税及び復興特別所得税の額に1円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

※ 合計税率の計算式
合計税率(%)= 所得税率(%) × 102.1%

適用対象所得 所得税率 合計税率
上場株式等の配当等など 7% 7.147%
報酬・料金等が100万以下の金額等 10% 10.21%
利子等 15% 15.315%
割引債の償還差益 18% 18.378%
配当等、報酬・料金等が100万円超の部分の金額等 20% 20.42%

■源泉徴収する際の実務上の留意点
復興特別所得税が課されることによる源泉実務でポイントとなるところをまとめてみました。

1)手取金額からの源泉すべき税額のグロスアップ計算
報酬等の料金について、実務上、手取額をぴったりの金額になるように支払われることが多くあります。この場合の納付すべき所得税及び復興特別所得税の額については、次のように求めることになります。

例)手取金額 200,000円、源泉税率を10.21%

①消費税込金額の支払対価に源泉する場合



(支払対価の額(100%部分))
200,000円 ÷ (100-10.21)% = 222,741.953… ⇒ 222,741円
(手取金額)    (100-合計税率)    (算出金額)      (支払対価)

(所得税及び復興特別所得税の合計額)
(1円未満切捨て)
222,741円 × 10.21% = 22,741.856 ⇒ 22,741円
(支払対価)  (合計税率)    (算出税額)   (納付すべき税額)

支払対価     222,741円 (消費税込)
源泉税額の計 △22,741円
────────────────────
手取金額     200,000円

②消費税抜金額の支払対価に源泉する場合(消費税は5%)

(支払対価(消費税抜)の額(100%部分))
200,000円 ÷ (105-10.21)% = 210,992.720… ⇒ 210,993円
(手取金額)   (105-合計税率)   (算出金額)     (支払対価(消費税抜))

(所得税及び復興特別所得税の合計額)
(1円未満切捨て)
210,993円 × 10.21% = 21,542.385 ⇒ 21,542円
(支払対価)  (合計税率)    (算出税額)   (納付すべき税額)

支払対価   210,993円(消費税抜)
消費税額    10,549円(210,993円×5%)
────────────────
源泉税額の計 △21,542円
手取金額   200,000円

グロスアップ計算の実務では、①の消費税込の支払対価に源泉する場合の方が多いと思われます。
グロスアップ計算をする際は、合計税率が小数点にまで及ぶようになるため、割り返しの率に注意しなければなりません。消費税率が上がることも想定すると、②のケースが増えることも考えられ、複雑な計算になることもあります。
考え方をしっかりと押さえておきたいところです。

2)源泉徴収の適用税率の切り替わるタイミング
源泉徴収の適用税率が、2013年(平成25年)1月から変更されることになりますが、このような場合は、変更前後においてどちらの税率を使うのか迷う点がでてきます。下記3つのようなケースが実務上、想定されます。

ケース1
2012年(平成24年)12月25日支給日の12月分の給与が未払となってしまい、2013年(平成25年)1月10日に支払った場

給与の収入すべき時期は、支給日が定められている場合、その支給日とされています。したがって、当ケースの場合、2012年(平成24年)12月25日支給の給与は、未払いになっていますが、2012年(平成24年)分の所得となります。実際の支払が2013年(平成25年)1月以後になったとしても、復興特別所得税を源泉徴収する必要はありません。

(ケース2
2012年(平成24年)12月分給与を2013年(平成25年)1月25日に支給する定めに基づき、支払った場合

当ケースの給与においては、2013年(平成25年)1月25日が収入すべき時期となり、2013年(平成25年)分の所得となるので、復興特別所得税を源泉徴収する必要があります。

ケース3
2012年(平成24年)12月開催の株主総会で配当決議を行い、2013年(平成25年)1月25日に配当を支払う場合

配当の収入すべき時期は、配当決議がありその効力発生日が収入すべき時期とされています。したがって、当ケースの場合、配当決議日が2012年(平成24年)であるため、2012年(平成24年)分の所得となります。ケース1と同様、実際の支払が2013年(平成25年)1月以後になったとしても、復興特別所得税を源泉徴収する必要はありません。

バックナンバ

第126回 「令和2年度 税制改正(速報)」
第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
第111回 「平成30年税制改正で大きく改正された特例事業承継税制について」
第110回 「消費税の軽減税率制度」
第109回 「法人の税務調査の基礎知識」
第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
第75回 「贈与税の取扱について」
第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
第72回 「役員の登記に関する改正と役員報酬の決定」
第71回 「消費税軽減税率の動向について」
第70回 「マイナンバーで変わる経理と対応費用の取扱いについて」
第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
第68回 「平成27年3月期決算の税務ポイント」
第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
第62回 「役員に関する経費の注意点」
第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」
第60回 「消費税8%後に注意すべき事項」
第59回 「生産性向上設備投資促進税制の実務ポイント」
第58回 「所得拡大促進税制の改正ポイント」
第57回 「交際費の枠が4月から広がります」
第56回 「いよいよ3月決算、新税制の適用をお忘れなく」
第55回 「平成26年1月から適用される税制」
第54回 「平成26年度税制改正(速報)」
第53回 「年末調整における平成25年の改正点と注意点」
第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
第48回 「消費税転嫁対策法の成立で税率引き上げに向けての事前準備を」
第47回 「新年度から適用が始まる法人税制 その2」
第46回 「新年度から適用が始まる法人税制 その1」
第45回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点2」
第44回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点」
第43回 「平成25年度税制改正について(速報)」
第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
第38回 「消費税改正に向けて企業が対処すべき課題とは?」
第37回 「現物給与と隣接経費の取扱い」
第36回 「社会保障と税の一体改革」
第35回 「決算期の変更を行う会社が増えているようです」
第34回 「株主総会終了後の重要な手続きをお忘れなく」
第33回 「調査にも種類はいろいろ」
第32回 「決算前、税効果会計の適用税率に注意」
第31回 「消費税率の引き上げで企業はどうする?」
第30回 「多くの企業に影響のある税制改正はどうなった? ~平成23年税制改正の成立と24年改正大綱の発表~」
第29回 「消費税改正への対応を進めるには・・・」
第28回 「平成23年税制改正で中間申告はどう変わった?」
第27回 「税務当局への相談方法の種類は?」
第26回 「急激な円高進行 為替換算に大きな変動があった際のポイントとは?」
第25回 「消費税95%ルールの見直しは要注意!」
第24回 「6月30日を越えて平成23年税制改正の動向は?」
第23回 「過年度遡及会計基準と税務の取り扱いについて」
第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」
第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」
第20回 「税務調査への対応とポイント」
第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」
第18回 「会社清算時の課税の変更について」
第17回 「経営不振の子会社・関連会社の支援を行う場合」
第16回 「出向者給与の取扱い」
第15回 「決算書からわかる経営分析」
第14回 「帳簿書類等の保存について」
第13回 「税金のペナルティーいろいろ」
第12回 「修繕費と資本的支出の区分」
第11回 「事業承継税制 贈与税の納税猶予」
第10回 「役員給与の減額改定について」
第9回 「上場有価証券の税務上の評価損について」
第8回 「欠損金の繰戻し還付制度について」
第7回 「海外子会社配当の益金不算入制度の創設について」
第6回 「証券税制について」
第5回 「交際費等と寄附金」
第4回 「報酬・料金等に係る源泉徴収制度について」
第3回 「中小企業に対する優遇税制について」
第2回 「貸倒損失の税務上の処理について」
第1回 「取締役及び監査役の責任範囲と訴訟リスクについて」

プロフィール

アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

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