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税務会計業務のポイント

第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」

グローバル化の進展により海外の会社が所有するソフトウェアを利用し、そのロイヤリティを支払うケースや、海外の経営コンサルタントが来日し、コンサルティング報酬を支払うケースなどが多く発生しています。
このような海外との取引についての支払では源泉徴収義務が生ずる場合があります。今回は、外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務の取扱いについてまとめてみました。

1.国際間の課税関係を考えるにあたって
国際取引により発生する課税関係を考えるにあたっては、まずは支払側の国内法における取扱いを確認することが必要です。
すなわち、日本の会社が支払側である場合には、最初に日本の所得税法を確認することになります。
国内法の確認後、次に、取引先の所在する国と締結されている租税条約の確認を行い、最終的な課税関係を決定することになります。
国内法と租税条約の両方で課税関係が確認される場合、租税条約の規定が優先されることになります。

例えば、日本(支払側)とアメリカ(受取側)との間で取引を行った場合には、
①日本の所得税法の確認
②アメリカとの租税条約(日米租税条約)の確認
の順で確認を行います。

2.国内法での取扱い
外国法人や非居住者へ支払が発生する取引において、日本の所得税法に基づき、源泉徴収が必要になることがあります
外国法人や非居住者に対する日本の所得税の課税対象及び源泉税率は、所得税基本通達164-1に以下のように要約されています。

非居住者に対する課税関係の概要


これらのうち、実務的によく目にすると思われる取引についてご紹介します。

(1)使用料等
国内において業務を行う者が、工業所有権、著作権等の使用料又は取得の対価を外国法人や非居住者に対して支払う際には、その国内業務に係るものは、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

(2)人的役務の提供に対する報酬等
外国法人や非居住者に支払う人的役務の提供に対する報酬等のうち、国内において行った人的役務の提供に対するものは、その支払いの際に、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
この人的役務の提供の範囲には、映画俳優や弁護士等のほか、科学技術・経営管理等の専門的知識等を有する者が提供するものも含まれてくることになりますので、広い範囲の取引が源泉徴収の対象となってきます。

3.租税条約での取扱い
支払先の外国法人や非居住者の居住地国と日本との間で租税条約が締結されている場合には、その租税条約の定めるところにより、課税が免除又は軽減、若しくは源泉徴収自体が不要となる場合があります。
相手国との間に租税条約が締結されていることが確認できれば、支払日の前日までに租税条約の届出書等を税務署へ提出することにより、課税が免除又は軽減され、その特典を受けることができます。

4.源泉徴収の際に間違いやすい注意点
(1)債権債務の相殺取引
源泉徴収は、支払者における費用計上のときに行われるのではなく、支払時に行われます。
外国法人・非居住者と日本の法人との間に債権債務の関係があり、送金に替えて、その債権債務を相殺することによって支払に替える場合があります。この場合、相殺でも支払があったものとして源泉徴収が必要となってくるので、注意が必要です。

(2)復興特別所得税の取扱い
租税条約において日本の所得税法に定める源泉税率以下の税率が定められている(免税を含みます)場合には、復興特別所得税を併せて源泉徴収する必要はありません。

<租税条約に定める税率が日本の所得税率より低い場合>


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バックナンバ

第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
第111回 「平成30年税制改正で大きく改正された特例事業承継税制について」
第110回 「消費税の軽減税率制度」
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第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
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第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
第72回 「役員の登記に関する改正と役員報酬の決定」
第71回 「消費税軽減税率の動向について」
第70回 「マイナンバーで変わる経理と対応費用の取扱いについて」
第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
第68回 「平成27年3月期決算の税務ポイント」
第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
第62回 「役員に関する経費の注意点」
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第60回 「消費税8%後に注意すべき事項」
第59回 「生産性向上設備投資促進税制の実務ポイント」
第58回 「所得拡大促進税制の改正ポイント」
第57回 「交際費の枠が4月から広がります」
第56回 「いよいよ3月決算、新税制の適用をお忘れなく」
第55回 「平成26年1月から適用される税制」
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第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
第48回 「消費税転嫁対策法の成立で税率引き上げに向けての事前準備を」
第47回 「新年度から適用が始まる法人税制 その2」
第46回 「新年度から適用が始まる法人税制 その1」
第45回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点2」
第44回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点」
第43回 「平成25年度税制改正について(速報)」
第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
第38回 「消費税改正に向けて企業が対処すべき課題とは?」
第37回 「現物給与と隣接経費の取扱い」
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第34回 「株主総会終了後の重要な手続きをお忘れなく」
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第30回 「多くの企業に影響のある税制改正はどうなった? ~平成23年税制改正の成立と24年改正大綱の発表~」
第29回 「消費税改正への対応を進めるには・・・」
第28回 「平成23年税制改正で中間申告はどう変わった?」
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第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」
第18回 「会社清算時の課税の変更について」
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第15回 「決算書からわかる経営分析」
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第12回 「修繕費と資本的支出の区分」
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第10回 「役員給与の減額改定について」
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第8回 「欠損金の繰戻し還付制度について」
第7回 「海外子会社配当の益金不算入制度の創設について」
第6回 「証券税制について」
第5回 「交際費等と寄附金」
第4回 「報酬・料金等に係る源泉徴収制度について」
第3回 「中小企業に対する優遇税制について」
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