SSUGは会員の自己研鑽と相互の新睦を目的とする団体です。

税務会計業務のポイント

第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」

個人型確定拠出年金は、老後の生活保障の年金を、ご自身で積み立てる「私的年金」の一つです。60歳まで掛金を積み立て、投資信託その他の金融商品で運用し、60歳以降に一時金か年金の方法で受け取ることになります。2001年10月に導入され、2017年1月の制度改正で対象範囲が大幅に拡大されました。掛金は、全額が所得控除となり税制面のメリットが非常に大きいので、長期の資産形成の手段として是非活用いただきたい制度です。

■個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の改正内容
個人型確定拠出年金は、自営業者(第1号被保険者)、会社員や公務員(第2号被保険者)、専業主婦(第3号被保険者)が任意で加入することが出来る確定拠出年金法に基づく年金制度です。運営主体は国民年金基金連合会ですが、加入窓口は各金融機関となります。
2017年1月1日以降、専業主婦や公務員、企業年金のある会社員にも対象範囲が拡大され、制度上60歳未満のどなたでも加入できるようになりました。これに合わせ、制度の認知度向上のため「iDeCo(イデコ)」という愛称が決められました。この愛称は、個人型確定拠出年金の英語表記(individual-type Defined Contribution pension plan)の単語の一部分から成り立っています。対象範囲の改正及び掛金の限度額は下記の表の通りとなります。

職業
  拠出できる限度額/月
 2016年12月以前 2017年1月以降
 自営業者等 68,000円 68,000円
 会社員
企業型
確定拠出年金なし

確定給付型
年金
なし
23,000円
23,000円
あり
加入不可
12,000円
企業型
確定拠出年金あり

確定給付型
年金
なし 加入不可
 20,000円
あり
加入不可
 12,000円
  公務員等
加入不可
 12,000円
  専業主婦等
加入不可
 20,000円

法改正により個人型確定拠出年金に加入できる方


■iDeCo(イデコ)の税務上の3つのメリット
iDeCo(イデコ)は、「掛金の拠出」「資産の運用」「給付金の受給」の各段階で税制優遇が受けられます。

●拠出した掛金は全額所得控除の対象となります。
掛金は、全額が所得控除である「小規模企業共済等掛金控除」となり課税所得から差し引かれますので、所得税と住民税が軽減されることになります。

●資産運用に対する収益には課税がされません。
掛金は金融商品等で運用され、その運用益は通常、課税対象となりますが、iDeCo(イデコ)内の運用商品の運用益については、非課税扱いとされます。

●給付金の受取は退職所得か公的年金等雑所得となり税制優遇が受けられます。

iDeCo(イデコ)の給付金を一時金で受け取る場合は退職所得となります。掛金払込期間を勤続年数とみなして「退職所得控除」として一定額が収入金額から控除され、その控除後の所得金額を2分の1にして課税されることになります。年金形式で受け取る場合には、公的年金等雑所得となり他の公的年金等と合算して「公的年金等控除」が適用されます。





Q1.
運用する商品にはどのようなものがありますか?

A1.
iDeCo(イデコ)では自身が金融機関を選び、そこから提示される金融商品を自由に組み合わせて運用していくことになります。金融機関ごとに特色のある運用商品が揃えられており、運用商品には、元本確保型商品(定期預金など)や投資信託(国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、バランス型など)、保険商品(GIC、積立障害保険など)などがあり、多岐にわたっています。

運用商品の配分は運用状況に応じて見直しが可能であり、また、運用中の商品を売却・解約して、他の商品へ買い換えるスイッチングを行うこともできます。

Q2.

加入にあたり手数料はどの程度かかるのでしょうか?

A2.
加入する金融機関の選び方で口座管理費用の金額は変わります。まず、加入時に1度だけ必ずかかる国民年金基金連合会に対する2,777円があります。次に運用を始めた後、同連合会と事務委託の金融機関に毎月167円(年間2,004円)の口座管理手数料がどの金融機関に加入しても必要となります。

これら2つの費用のほかは、金融機関ごとに、資産残高などに応じて手数料が異なります。金融機関を選ぶ際は、口座管理費用と商品として用意されている投資信託の信託報酬の合計コストで考えることが大切です。

なお、投資は毎月の掛金からまず口座管理手数料が差し引かれ、残額で運用商品を買い付けていくことになります。

Q3.
毎月支払う金額は途中で変更できますか?

A3.
掛金額の変更は年1回行うことができます。掛金額を変更する場合は、加入手続きを行った金融機関に「加入者掛金額変更届」を提出することになります。

Q4.

掛金の所得控除を受けるためには、どのような手続きが必要ですか?

A4.
1号加入者(自営業者等)の方と、2号加入者(企業の従業員)で個人払込みをされている方については、国民年金基金連合会より送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を確定申告や年末調整の際に添付します。2号加入者(企業の従業員)の方で掛金を給与天引き(事業主払込)される場合は、事業主が給与計算の際に、社会保険料と小規模企業共済等掛金の額との合計額を控除することになり、払込証明書は発行されずに年末調整が行われることになります。

Q5.
社会保険料控除のように妻の負担すべき掛金を夫が支払い、所得控除をすることはできますか?

A5.
社会保険料控除では、納税者が生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合、納税者の社会保険料控除の対象にすることができます。しかし、iDeCo(イデコ)の掛金は、配偶者がまとめて支払うことはできず、加入者本人の掛金しか所得控除の対象となりません



アクタス税理士法人のサイトはこちら

バックナンバ

第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
第111回 「平成30年税制改正で大きく改正された特例事業承継税制について」
第110回 「消費税の軽減税率制度」
第109回 「法人の税務調査の基礎知識」
第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
第75回 「贈与税の取扱について」
第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
第72回 「役員の登記に関する改正と役員報酬の決定」
第71回 「消費税軽減税率の動向について」
第70回 「マイナンバーで変わる経理と対応費用の取扱いについて」
第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
第68回 「平成27年3月期決算の税務ポイント」
第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
第62回 「役員に関する経費の注意点」
第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」
第60回 「消費税8%後に注意すべき事項」
第59回 「生産性向上設備投資促進税制の実務ポイント」
第58回 「所得拡大促進税制の改正ポイント」
第57回 「交際費の枠が4月から広がります」
第56回 「いよいよ3月決算、新税制の適用をお忘れなく」
第55回 「平成26年1月から適用される税制」
第54回 「平成26年度税制改正(速報)」
第53回 「年末調整における平成25年の改正点と注意点」
第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
第48回 「消費税転嫁対策法の成立で税率引き上げに向けての事前準備を」
第47回 「新年度から適用が始まる法人税制 その2」
第46回 「新年度から適用が始まる法人税制 その1」
第45回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点2」
第44回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点」
第43回 「平成25年度税制改正について(速報)」
第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
第38回 「消費税改正に向けて企業が対処すべき課題とは?」
第37回 「現物給与と隣接経費の取扱い」
第36回 「社会保障と税の一体改革」
第35回 「決算期の変更を行う会社が増えているようです」
第34回 「株主総会終了後の重要な手続きをお忘れなく」
第33回 「調査にも種類はいろいろ」
第32回 「決算前、税効果会計の適用税率に注意」
第31回 「消費税率の引き上げで企業はどうする?」
第30回 「多くの企業に影響のある税制改正はどうなった? ~平成23年税制改正の成立と24年改正大綱の発表~」
第29回 「消費税改正への対応を進めるには・・・」
第28回 「平成23年税制改正で中間申告はどう変わった?」
第27回 「税務当局への相談方法の種類は?」
第26回 「急激な円高進行 為替換算に大きな変動があった際のポイントとは?」
第25回 「消費税95%ルールの見直しは要注意!」
第24回 「6月30日を越えて平成23年税制改正の動向は?」
第23回 「過年度遡及会計基準と税務の取り扱いについて」
第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」
第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」
第20回 「税務調査への対応とポイント」
第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」
第18回 「会社清算時の課税の変更について」
第17回 「経営不振の子会社・関連会社の支援を行う場合」
第16回 「出向者給与の取扱い」
第15回 「決算書からわかる経営分析」
第14回 「帳簿書類等の保存について」
第13回 「税金のペナルティーいろいろ」
第12回 「修繕費と資本的支出の区分」
第11回 「事業承継税制 贈与税の納税猶予」
第10回 「役員給与の減額改定について」
第9回 「上場有価証券の税務上の評価損について」
第8回 「欠損金の繰戻し還付制度について」
第7回 「海外子会社配当の益金不算入制度の創設について」
第6回 「証券税制について」
第5回 「交際費等と寄附金」
第4回 「報酬・料金等に係る源泉徴収制度について」
第3回 「中小企業に対する優遇税制について」
第2回 「貸倒損失の税務上の処理について」
第1回 「取締役及び監査役の責任範囲と訴訟リスクについて」

プロフィール

アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

税理士、公認会計士、社会保険労務士など100名を超えるプロフェッショナルが中心となり、クライアントのライフステージに応じたあらゆるニーズに対応したサービスを提供してます。http://www.actus.co.jp/