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税務会計業務のポイント

第99回 「法定相続情報証明制度」

不動産等の相続の際には、最後に相続登記が必要になります。その手続が簡便になるように「法定相続情報証明制度」が、平成29年5月29日から、全国の登記所(法務局)において始まりました。この制度により、相続登記手続きと金融機関等の名義変更手続きを同時に進めることや、複数の法務局管轄内に不動産をお持ちの方が相続登記を同時にすることができるようになります。

■相続手続きと問題点
相続が発生した際には、相続人は葬儀だけでなく、故人の財産整理を行う必要があります。財産整理に際しては、遺言がなければ、誰がどの財産を取得するか相続人全員で遺産分割協議により決めて、相続税の申告手続きや預金の解約手続き、不動産の登記名義を相続人へ変更する相続登記手続きを行うことになります。

10ヶ月以内に提出しなければならないと法律で定められている相続税の申告等と異なり、相続登記には法律で決められた期限がないことや、手続きが煩雑なことから、相続登記が行われず、亡くなられた方の名義のまま放置されることがあり、従前より問題視されていました。なお、相続手続きにあたっての一般的なスケジュールは下記のとおりです。


■相続登記の方法
相続登記にあたっては、相続人を確定させるため、被相続人と相続人の戸籍謄本等を集める必要があります。

なお、被相続人の戸籍謄本等については、他に例えば隠し子などの相続人がいないか確認するために、生まれてから亡くなるまでのものを集める必要があります。

従って戸籍謄本は、亡くなられた方が転籍を繰り返している場合や結婚等によって本籍が変わっている場合、戸籍の改製が発生していたりすることにより、取得する戸籍謄本等の数も増えることになります。

これらの戸籍謄本等と遺産分割協議書や印鑑証明書等をもって、相続登記を行うことになります。相続登記は、戸籍謄本等の一部分の欠落や紛失等により、手続きができなくなりますので、戸籍謄本等については、出生から死亡までは連続してもれなく取得する必要があります。

■法定相続情報証明制度とは
法定相続情報証明制度は、相続登記を簡便化する目的で始まったもので、法務局に被相続人と相続人の戸除謄本等と併せて、相続関係を一覧に表した法定相続情報一覧図(Q1参照)と申出書を提出することによって、その一覧図に認証文を付した写しを無料で何枚でも交付してくれるという制度です。

相続登記にあたっては、被相続人と相続人の戸籍謄本等の代わりに、法定相続情報一覧図があれば、手続きが可能となります。また、この法定相続情報一覧図は、預金や有価証券の相続手続き、保険金の請求等の手続にも順次使用できるようになってきております。法定相続情報証明制度については下図を参照してください。

※法務省資料
「法定相続情報証明制度について」より





Q1.
法定相続情報証明制度の交付の流れを教えてください

A1.
相続人が登記所に対し、以下の書類をはじめとする必要書類を提出すると、登記官がその内容を確認し、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付してくれます。

1.被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等
2.上記1.の記載に基づく法定相続情報一覧図
  (被相続人氏名、最後の住所、生年月日及び死亡年月日
   並びに相続人の氏名、住所、生年月日及び続柄の情報)

申出者が作成する法定相続情報一覧図については、法務局のホームページにおいて、様式と記載例が用意されていますので、それを用いて作成することができます。

認証文が付された法定相続情報一覧図は、下図のようなものとなります。
※法務省HP資料より



Q2.

法定相続情報証明制度の利用を申出することができる人は、誰になりますか

A2.
法定相続情報証明制度の利用申出することができる方は、相続人等となります。なお、その相続人等からの委任によって、本制度の申出を代理人に依頼することができます。

委任による代理人については、法定相続人もほか、親族、弁護士、司法書士等に依頼することができます。また、被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸籍謄本等を提出することができない場合は、本制度を利用することができません。

Q3.
法定相続情報一覧図の再交付は可能でしょうか

A3.
提出された法定相続情報一覧図は、登記所にて申出日の翌年から5年間保管されます。
この間は、当初の申出において申出書に「申出人」として指名を記載した方は、一覧図の写しを再交付することが可能です。なお、申出人とならなかった他の相続人は、再交付を受けることができません。

Q4.
相続税の申告の際に添付する書類として利用可能でしょうか

A4.
現行法では、相続税申告の際に添付する書類としては戸籍謄本とされておりますので、法定相続情報一覧図を利用することはできません。


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バックナンバ

第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
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第110回 「消費税の軽減税率制度」
第109回 「法人の税務調査の基礎知識」
第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
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第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
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第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
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第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
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第53回 「年末調整における平成25年の改正点と注意点」
第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
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第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
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