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税務会計業務のポイント

第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」

3月決算法人の決算期と税務申告時期が近づいてきております。平成29年度の税制改正によって、平成30年3月期の税務申告から影響のある項目があります。平成30年3月期から変更になる内容についてポイントをまとめましたので、改めてここで確認をお願い致します。なお、3月以降に決算を迎える法人につきましても、以降同様にすべて影響してきますのでご確認ください。

■所得拡大促進税制の改正について
所得拡大促進税制は、継続的な賃上げを支援する措置の一環として青色申告法人が下記の3要件を全て満たした場合、法人税額から一定の額を控除することができます。

○3要件のうち、1,2については変更なく、3つ目の要件が変更されています。
1. 基準事業年度と比べて給与等支給額が一定割合以上増加していること…前年より変更なし
2. 前事業年度と比べて給与等支給額が増加していること…前年より変更なし
3. 前事業年度より平均給与等支給額が増加(大企業は前事業年度比で2%以上増加)していること←変更あり
○大企業等では、平均給与等支給額の増加が前事業年度比で2%未満である場合には、適用要件に該当せず、本税額控除の適用自体ができなくなります。
○中小企業では、3の要件について、前事業年度比2%以上増加していれば、10%の通常の税額控除額に更に12%を上乗せした22%の税額控除を受けられます。

※平成30年度の税制改正では、前年度比の平均給与支給額の増加率のみが要件となり緩和されますが、大企業については設備投資要件が追加される予定です。控除額にも変更があります。以下は変更後の要件です。

大企業:平均給与等支給額対前年度比3%以上増加、かつ、国内設備投資額が減価償却費総額の90%以上
中小企業:平均給与等支給額対前年度比1.5%以上増加

■役員給与の見直し

 【3月決算法人のポイント】
○定期同額給与は、所得税や社会保険料の源泉徴収後の手取りが同額でも定期同額給与となります。
○業績連動型の役員退職給与について、「功績倍率法に基づいて支給する退職給与」は業績連動型の役員退職給与に該当しないことが明らかにされました。なお、改正通達で、「役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として、役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法をいう」と功績倍率法の定義も明らかにされました。
○役員に対して交付する「新株予約権(ストックオプション)」については、事前確定届出給与又は業績連動給与に該当しない限り、損金算入が認められません。届出の提出等についてはご相談ください。

■法人税実効税率の引き下げ

 【3月決算のポイント】
○前年と変わらず資本金1億円超の外形標準課税適用法人の実効税率は29.97%、資本金1億円以下の中小法人の実効税率は33.80%となります。なお、法人税率は、現在23.4%ですが、平成31年3月期以降は23.2%に引き下げられることとなっています。

■欠損金の繰越控除

 【3月決算法人のポイント】
○資本金1億円超の法人は、繰越控除限度額が段階的な引下げが行われております。
○資本金1億円以下の中小法人は、従前と同様、欠損金控除前の所得の全額が控除限度額の対象となります

 平成30年3月期  平成31年3月期以降
 繰越控除限度額の引下げ
 欠損金額控除前の所得の55%
 欠損金額控除前の所得の50%
 繰越期間の延長
 9年
 10年

■研究開発税制の見直し

 【3月決算法人のポイント】
○税額控除の対象となる、サービス開発に要する原材料費、人件費、経費及び委託研究費の範囲は、製品の製造等に係る試験研究費と異なります。
○税務調査により法人税額が増加し、控除上限額が増加した場合には、納税者が更正の請求を行うことなく職権更正で控除額を増加させることができる仕組みとなっています。
○試験研究費の増減割合を算定する際は、当期前3年間の各試験研究費の平均額を、改正後の試験研究費の範囲により、再計算が必要となります。

■設備投資関係の税制改正について
生産性向上に資する設備投資を行った場合に、一定の税制上の優遇措置を受けることが出来ます。平成29年度の税制改正の内容が中心ですので、適用できる期間は平成31年3月31日までの制度が多くなっております。来期を含めてご検討いただき、ぜひともご活用いただきたい税制です。

●中小企業等投資促進税制
青色申告書を提出している中小企業等が平成31年3月31日までの期間に新品の機械及び装置やソフトウェア等を取得又は制作して指定事業の用に供した場合に、「30%特別償却」又は「7%税額控除(個人事業主、資本金3,000万円以下法人のみが対象)」が選択適用できる制度です。

 【3月決算のポイント】
○平成29年度の税制改正で対象資産から「器具備品」が除外されています。
○この制度は、中小企業等が経営強化法の認定を受けるなど事前手続きが必要なく、対象設備を取得し、指定事業に利用することで要件を満たします。
●中小企業経営強化税制(以下「強化税制」といいます)の適用
青色申告書を提出する中小企業者等が、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、中小企業経営強化法の認定を受けた「経営力向上計画」に基づき、「適用対象となる資産」を新規取得等し、国内にあるその企業の「指定事業」に使用した場合に、「即時償却」と「7%税額控除(個人事業主、資本金3,000万円以下法人は10%)」が選択適用できる制度です。
 【3月決算法人のポイント】
○原則として、資産を取得するに「経営力向上計画」の認定を得ることが必要となります。
○例外として、資産の取得等のに「経営力向上計画」の認定を得ることも容認されます。
 この場合、設備の取得・事業供用と同一事業年度内に同計画の認定を受けることが必要となります。

※計画の申請から認定までは、約30日程度要するとされていますので、早めの対応が必要です。
「経営力向上計画」の認定につきましては、お気軽にご相談ください。
(参考) ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金について
この補助金制度は、中小企業や小規模事業者が取り組む「生産性向上」に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の一部を支援するものです。事業内容等によって最大1,000万円の支援を受けられ、設備投資に対する国庫補助金として圧縮記帳の対象ともなります。強化税制の「経営力向上計画」 の認定を受けていると、補助金の審査において加点対象になるとされています。
(参考)IT導入補助金について
この補助金制度は、中小企業や小規模事業者等の「生産性向上」に資するITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入するための費用の一部を支援するものです。2018年度の補助金総額は昨年度の5倍、500億が予算とされており、まだ正式発表はありませんが、IT導入費用の1/2、最大額50万円が補助される予定となっています。

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バックナンバ

第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
第111回 「平成30年税制改正で大きく改正された特例事業承継税制について」
第110回 「消費税の軽減税率制度」
第109回 「法人の税務調査の基礎知識」
第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
第75回 「贈与税の取扱について」
第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
第72回 「役員の登記に関する改正と役員報酬の決定」
第71回 「消費税軽減税率の動向について」
第70回 「マイナンバーで変わる経理と対応費用の取扱いについて」
第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
第68回 「平成27年3月期決算の税務ポイント」
第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
第62回 「役員に関する経費の注意点」
第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」
第60回 「消費税8%後に注意すべき事項」
第59回 「生産性向上設備投資促進税制の実務ポイント」
第58回 「所得拡大促進税制の改正ポイント」
第57回 「交際費の枠が4月から広がります」
第56回 「いよいよ3月決算、新税制の適用をお忘れなく」
第55回 「平成26年1月から適用される税制」
第54回 「平成26年度税制改正(速報)」
第53回 「年末調整における平成25年の改正点と注意点」
第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
第48回 「消費税転嫁対策法の成立で税率引き上げに向けての事前準備を」
第47回 「新年度から適用が始まる法人税制 その2」
第46回 「新年度から適用が始まる法人税制 その1」
第45回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点2」
第44回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点」
第43回 「平成25年度税制改正について(速報)」
第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
第38回 「消費税改正に向けて企業が対処すべき課題とは?」
第37回 「現物給与と隣接経費の取扱い」
第36回 「社会保障と税の一体改革」
第35回 「決算期の変更を行う会社が増えているようです」
第34回 「株主総会終了後の重要な手続きをお忘れなく」
第33回 「調査にも種類はいろいろ」
第32回 「決算前、税効果会計の適用税率に注意」
第31回 「消費税率の引き上げで企業はどうする?」
第30回 「多くの企業に影響のある税制改正はどうなった? ~平成23年税制改正の成立と24年改正大綱の発表~」
第29回 「消費税改正への対応を進めるには・・・」
第28回 「平成23年税制改正で中間申告はどう変わった?」
第27回 「税務当局への相談方法の種類は?」
第26回 「急激な円高進行 為替換算に大きな変動があった際のポイントとは?」
第25回 「消費税95%ルールの見直しは要注意!」
第24回 「6月30日を越えて平成23年税制改正の動向は?」
第23回 「過年度遡及会計基準と税務の取り扱いについて」
第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」
第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」
第20回 「税務調査への対応とポイント」
第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」
第18回 「会社清算時の課税の変更について」
第17回 「経営不振の子会社・関連会社の支援を行う場合」
第16回 「出向者給与の取扱い」
第15回 「決算書からわかる経営分析」
第14回 「帳簿書類等の保存について」
第13回 「税金のペナルティーいろいろ」
第12回 「修繕費と資本的支出の区分」
第11回 「事業承継税制 贈与税の納税猶予」
第10回 「役員給与の減額改定について」
第9回 「上場有価証券の税務上の評価損について」
第8回 「欠損金の繰戻し還付制度について」
第7回 「海外子会社配当の益金不算入制度の創設について」
第6回 「証券税制について」
第5回 「交際費等と寄附金」
第4回 「報酬・料金等に係る源泉徴収制度について」
第3回 「中小企業に対する優遇税制について」
第2回 「貸倒損失の税務上の処理について」
第1回 「取締役及び監査役の責任範囲と訴訟リスクについて」

プロフィール

アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

税理士、公認会計士、社会保険労務士など100名を超えるプロフェッショナルが中心となり、クライアントのライフステージに応じたあらゆるニーズに対応したサービスを提供してます。http://www.actus.co.jp/