SSUGは会員の自己研鑽と相互の新睦を目的とする団体です。

税務会計業務のポイント

第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」

毎年改正が行われる税制ですが、3月決算法人の税務申告から影響する項目が結構あります。今回は、平成31年3月期決算の法人から取扱いが変更になる内容など、そのポイントをまとめました。なお、3月以降に決算を迎える法人につきましても、以降の決算期から同様に影響を受けます。その旨でご確認ください。

法人税率の見直し(全法人向け)
普通法人等に対する法人税の税率が下記の通り引き下げられます。なお、平成31年度の税制改正により中小法人等の軽減税率15%(本則19%)が、平成32年度末まで2年間延長されることとなっております。

区分
H30.3.31以前
開始事業年度
H30.4.1以後
開始事業年度
中小法人等以外の普通法人
23.4%
23.2%
中小法人、一般社団法人等、
人格のない社団等
年800万円超
23.4%
23.2%
年800万円以下
15.0%
15.0%

※中小法人等:資本金の額1億円以下の普通法人等(資本金の額等5億円以上の法人等の100%子法人等を除く)をいいます。

欠損金の繰越控除(大法人向け)
資本金1億円超の大法人の繰越欠損金控除限度額について、段階引下げの最終年度になります。 中小法人等の控除限度割合については、従来通り100%控除可能です。また、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金より、欠損金繰越期間は10年とされます。

区 分
H30.3.31以前
開始事業年度
H30.4.1以後
開始事業年度
中小法人以外の
繰越控除限度額
所得金額×55
所得金額×50
繰越期間
9年
10年

賃上げ等の促進に係る税制(所得拡大促進税制の改組、全法人向け)
資本金1億円超等の大企業向けの「賃上げ・生産性向上のための税制」と、大企業以外の中小企業向けの「所得拡大促進税制」に適用要件等が分けられるなど、大きく改正が行われております。適用要件・税額控除額は次表のとおりです。

大企業向け
中小企業者等向け
通常
継続雇用者給与等支給額※1が前年度比で3%以上増加、かつ、国内設備投資額が減価償却費の9割以上
img_zeimu117_001 給与総額※2の増加額の15%を税額
  控除
継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加
img_zeimu117_001 給与総額の増加額の15%を税額
  控除
上乗せ
上記の要件を満たすことに加え、教育訓練費が過去2年平均比で20%以上増加
img_zeimu117_001 給与総額の増加額の20%を税額控除
継続雇用者給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加し、かつ、一定の要件※3を満たすこと
img_zeimu117_001 給与総額の増加額の25%を税額
  控除
限度額
税額控除額は法人税額の20%が上限

※1継続雇用者(前年度の期首から適用年度の期末までのすべての月分の給与等の支給
  を受けた従業員のうち、一定の者)に支払った給与等の総額を指します。
※2継続雇用者に限定しない、すべての国内従業員に支払った給与等の総額(役員等に
  支払った給与等を除く)を指します。
※3次の①②のいずれかを満たす場合
  ① 教育訓練費の額が前年度比で10%以上増加
  ② 中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力
   向上が確実に行われていること

租税特別措置の適用要件の見直し(大法人向け)
所得が増加しているにもかかわらず、次の適用要件を満たさない「賃上げ」や「設備投資」を行っていない大企業については、平成30年4月1日以後に開始する事業年度より、租税特別措置法の生産性向上に関係する租税特別措置の適用が受けられなくなります。
【適用要件】次の①②のいずれにも該当しない(=いずれかが該当すれば、適用は受けられる)
① 平均給与等支給額 > 比較平均給与等支給額 
② 国内設備投資額 > 減価償却費の総額×10%

租税特別措置の類型
特定の地域に限定した措置
・特区税制  
・沖縄税制 等
生産性の向上に関連する措置
・研究開発税制
・地域未来投資促進税制
・情報連携投資等の促進に係る
 税制(新設)
特定の業種に限定した措置
・海外投資等損失準備金
・農業経営基盤強化準備金 等
中小企業関連
・少額減価償却資産の特例
・中小企業投資促進税制 等
その他
・特定の資産の買替え特例
・土地税制関連(収用等) 等

平成31年度税制改正による影響を受ける制度(中小企業向け)
平成31年3月31日までに固定資産を取得等した中小企業者については、減価償却の優遇や税額控除を受けることができる3つの設備投資税制があります。これらの税制は平成31年度税制改正により、一部要件の見直しが行われたうえで、平成33年3月31日まで期限の延長が検討されています。平成31年3月決算までは下記の既存制度が適用されますが、それ以降の決算期については、平成31年4月1日以降取得等した設備について、要件見直しの詳細内容など、今後の税制改正情報にご注意ください。

中小企業
経営強化税制
中小企業
投資促進税制
商業・サービス業
活性化税制
適用対象者
青色申告書を提出する中小企業等で経営力向上計画の認定を受けたもの 青色申告書を
提出する
中小企業等
青色申告書を提出する中小企業等で認定経営革新等支援機関等による指導を受けたもの
対象設備
機械装置、工具器具備品、建物附属設備、ソフトウェアで生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)のいずれかに当てはまるもの(特定経営力向上設備等という) 機械装置、測定工具・検査工具、一定のソフトウェア、普通貨物自動車、内航船舶 経営改善指導助言書類に記載された一定の器具及び備品、建物附属設備
いずれか選択適用
特別償却
100% (即時償却) 30% 30%
税額控除
10%(資本金3,000万円超
1億円以下の法人は7%
7%(資本金3,000万円以下に限る) 7%(資本金3,000万円以下に限る)
限度額
税額控除額は合計で法人税額の20%が上限
(超える金額については1年間の繰越が可能)
平成31年度税制改正による見直し内容 「特定経営力向上設備等の
範囲」が明確化されたうえで、適用期限の2年間延長
適用期限の
2年間延長
「売上高や営業利益の伸び率が年2%以上となる見込であることについて認定経営革新等支援機関等の確認を受けること」が要件に追加され、適用期限の2年間延長

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バックナンバ

第126回 「令和2年度 税制改正(速報)」
第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
第111回 「平成30年税制改正で大きく改正された特例事業承継税制について」
第110回 「消費税の軽減税率制度」
第109回 「法人の税務調査の基礎知識」
第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
第75回 「贈与税の取扱について」
第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
第72回 「役員の登記に関する改正と役員報酬の決定」
第71回 「消費税軽減税率の動向について」
第70回 「マイナンバーで変わる経理と対応費用の取扱いについて」
第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
第68回 「平成27年3月期決算の税務ポイント」
第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
第62回 「役員に関する経費の注意点」
第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」
第60回 「消費税8%後に注意すべき事項」
第59回 「生産性向上設備投資促進税制の実務ポイント」
第58回 「所得拡大促進税制の改正ポイント」
第57回 「交際費の枠が4月から広がります」
第56回 「いよいよ3月決算、新税制の適用をお忘れなく」
第55回 「平成26年1月から適用される税制」
第54回 「平成26年度税制改正(速報)」
第53回 「年末調整における平成25年の改正点と注意点」
第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
第48回 「消費税転嫁対策法の成立で税率引き上げに向けての事前準備を」
第47回 「新年度から適用が始まる法人税制 その2」
第46回 「新年度から適用が始まる法人税制 その1」
第45回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点2」
第44回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点」
第43回 「平成25年度税制改正について(速報)」
第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
第38回 「消費税改正に向けて企業が対処すべき課題とは?」
第37回 「現物給与と隣接経費の取扱い」
第36回 「社会保障と税の一体改革」
第35回 「決算期の変更を行う会社が増えているようです」
第34回 「株主総会終了後の重要な手続きをお忘れなく」
第33回 「調査にも種類はいろいろ」
第32回 「決算前、税効果会計の適用税率に注意」
第31回 「消費税率の引き上げで企業はどうする?」
第30回 「多くの企業に影響のある税制改正はどうなった? ~平成23年税制改正の成立と24年改正大綱の発表~」
第29回 「消費税改正への対応を進めるには・・・」
第28回 「平成23年税制改正で中間申告はどう変わった?」
第27回 「税務当局への相談方法の種類は?」
第26回 「急激な円高進行 為替換算に大きな変動があった際のポイントとは?」
第25回 「消費税95%ルールの見直しは要注意!」
第24回 「6月30日を越えて平成23年税制改正の動向は?」
第23回 「過年度遡及会計基準と税務の取り扱いについて」
第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」
第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」
第20回 「税務調査への対応とポイント」
第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」
第18回 「会社清算時の課税の変更について」
第17回 「経営不振の子会社・関連会社の支援を行う場合」
第16回 「出向者給与の取扱い」
第15回 「決算書からわかる経営分析」
第14回 「帳簿書類等の保存について」
第13回 「税金のペナルティーいろいろ」
第12回 「修繕費と資本的支出の区分」
第11回 「事業承継税制 贈与税の納税猶予」
第10回 「役員給与の減額改定について」
第9回 「上場有価証券の税務上の評価損について」
第8回 「欠損金の繰戻し還付制度について」
第7回 「海外子会社配当の益金不算入制度の創設について」
第6回 「証券税制について」
第5回 「交際費等と寄附金」
第4回 「報酬・料金等に係る源泉徴収制度について」
第3回 「中小企業に対する優遇税制について」
第2回 「貸倒損失の税務上の処理について」
第1回 「取締役及び監査役の責任範囲と訴訟リスクについて」

プロフィール

アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

税理士、公認会計士、社会保険労務士など100名を超えるプロフェッショナルが中心となり、クライアントのライフステージに応じたあらゆるニーズに対応したサービスを提供してます。http://www.actus.co.jp/