SSUGは会員の自己研鑽と相互の新睦を目的とする団体です。

税務会計業務のポイント

第119回 「役員給与に関する税務のポイント」


役員の給与について、その決まりごとの詳細は会社法に定められておりますが、経費(損金)とするためには各種制限のある税務上の取扱いにも注意し決定することが重要です。想定外の課税を避けるためにも、役員給与の税務上のポイントをご確認ください。

役員給与の税務上の取扱い
役員給与のうち税務上損金として認められるのは、次の3つに限られています。ことができます。

区分
概要
1.定期同額給与 支給時期が1月以下の給与で各支給時期における
支給額が同額である給与
2.事前確定届出給与 支給時期と金額をあらかじめ定めその内容を税務署に
届出た賞与
3.業績連動給与 利益の状況を示す指標等を基礎として算定される給与

これらの給与に該当する場合でも、不相当に高額な部分の金額は損金として認められません。また、法人税法では独特な「みなし役員」(Q2参照)の規定があります。役員とみなされた者に対する給与についても役員給与として取り扱われますので注意が必要です。

役員給与に関する注意点
(1)定期同額給与を改定する場合
   定期給与を改定する場合、①期首から3か月以内の改定、②臨時改定事由による
  改定、③業績悪化改定事由による減額改定の3つの改定事由(Q3参照)に該当しな
  ければ、損金とならない部分がでてきます。また、株主総会等で変更決議を行う
  など会社法上の手続きをしたうえで、これらの改定であることを説明できる資料を
  保存することがポイントです。

img_zeimu119_001

(2)事前確定届出給与を支給する場合
   事前確定給与の届出書は、提出期限が定められており、次の①と②のいずれか早
  い日までに提出し、届け出た時期と金額を実行しなければなりません。
   ①株主総会等の決議日から1月を経過する日まで
   ②その事業年度開始の日から4月を経過する日
   なお、事前確定届出給与として税務署長へ届出を行った支給額と異なる金額で
  支給した場合、支給額の全額が損金とならなくなるところがポイントになります。

(3)出向者が役員となり出向負担金を支出する場合
  出向者が出向先において役員となっている場合(出向役員)には、出向先が負担
 する給与は、役員に対する給与として取り扱われます。税務上、出向役員に対する
 給与を損金とするためには、以下の手続きが必要になります。特に①の株主総会等
 の決議を忘れずに行うことがポイントです。
  ①その役員に係る給与負担金の額につきその役員に対する給与として出向先法人
   の株主総会等において決議されていること。
  ②出向契約においてその出向者に係る出向期間及び給与負担金の額があらかじめ
   定められていること。

Q1. 継続雇用者の定義について税制改正があったとのことですが、具体的な集計対象者を教えて下さい。

A1.2018年3月31日以前開始事業年度までは、適用年度と前年度にそれぞれ1回以上給与等の支給がある一定の国内雇用者が集計対象者でした。2018年4月1日以降開始事業年度からは、適用年度と前年度の全ての月分に給与等の支給を受けた一定の国内雇用者が集計対象者となります。なお、旧制度で算定していた一人当たりの平均給与額の算出は不要となります。

Q2.出向者がおり給与負担金を受領しているのですが、留意すべきことはありますか。

A2.給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額は、雇用者給与等支給額から控除する必要がありますので、出向元法人が出向先法人から支払を受けた給与負担金は、集計対象となる給与総額から除外されます。また、出向先法人は、賃金台帳に出向受入者と給与負担金額の記載をすることで集計対象となる給与総額に含めることが可能となります。

Q3.国内設備投資額と当期償却費総額の詳細を教えて下さい。

A3.国内設備投資額は、適用年度末までに取得等をした国内資産で、有形・無形固定資産が該当することとなり、棚卸資産、有価証券、繰延資産、土地、建設仮勘定は除かれます。
当期償却費総額は、国内外の全ての減価償却資産について適用年度において会計上で費用計上をした金額となり除却損・減損損失も原則として含まれますが、継続して集計対象から除外することとしている場合は含めないことが認められます。なお、過年度に発生した税務上の減価償却超過額に係る適用年度の認容額は、当期償却費総額から除かれております。

Q4.国内設備投資額には、中古資産やリース資産、設備の修繕等の費用も含まれますか。

A4.中古資産や売買とされるリース資産は、国内設備投資額に含まれます。また、既に有する資産の修理・改善等のために行った支出のうち、資本的支出に該当するものは国内設備投資額に含まれます。

Q5.教育訓練費とはどのような費用が該当するか教えて下さい。

A5.教育訓練費は、国内雇用者(役員等の一定の者を除きます。)の職務に必要な技術又は知識を習得・向上させるために支出する費用で、外部講師等に支払う報酬等、研修施設・備品・コンテンツ等の使用料、研修委託費外部研修参加費が該当致します。ただし、自社社員の人件費、研修受講者の旅費・宿泊費、教材のみの購入費、自社内の教材作成費や自社会議室の賃料相当額は除かれます。

アクタス税理士法人のサイトはこちら

バックナンバ

第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
第111回 「平成30年税制改正で大きく改正された特例事業承継税制について」
第110回 「消費税の軽減税率制度」
第109回 「法人の税務調査の基礎知識」
第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
第75回 「贈与税の取扱について」
第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
第72回 「役員の登記に関する改正と役員報酬の決定」
第71回 「消費税軽減税率の動向について」
第70回 「マイナンバーで変わる経理と対応費用の取扱いについて」
第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
第68回 「平成27年3月期決算の税務ポイント」
第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
第62回 「役員に関する経費の注意点」
第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」
第60回 「消費税8%後に注意すべき事項」
第59回 「生産性向上設備投資促進税制の実務ポイント」
第58回 「所得拡大促進税制の改正ポイント」
第57回 「交際費の枠が4月から広がります」
第56回 「いよいよ3月決算、新税制の適用をお忘れなく」
第55回 「平成26年1月から適用される税制」
第54回 「平成26年度税制改正(速報)」
第53回 「年末調整における平成25年の改正点と注意点」
第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
第48回 「消費税転嫁対策法の成立で税率引き上げに向けての事前準備を」
第47回 「新年度から適用が始まる法人税制 その2」
第46回 「新年度から適用が始まる法人税制 その1」
第45回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点2」
第44回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点」
第43回 「平成25年度税制改正について(速報)」
第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
第38回 「消費税改正に向けて企業が対処すべき課題とは?」
第37回 「現物給与と隣接経費の取扱い」
第36回 「社会保障と税の一体改革」
第35回 「決算期の変更を行う会社が増えているようです」
第34回 「株主総会終了後の重要な手続きをお忘れなく」
第33回 「調査にも種類はいろいろ」
第32回 「決算前、税効果会計の適用税率に注意」
第31回 「消費税率の引き上げで企業はどうする?」
第30回 「多くの企業に影響のある税制改正はどうなった? ~平成23年税制改正の成立と24年改正大綱の発表~」
第29回 「消費税改正への対応を進めるには・・・」
第28回 「平成23年税制改正で中間申告はどう変わった?」
第27回 「税務当局への相談方法の種類は?」
第26回 「急激な円高進行 為替換算に大きな変動があった際のポイントとは?」
第25回 「消費税95%ルールの見直しは要注意!」
第24回 「6月30日を越えて平成23年税制改正の動向は?」
第23回 「過年度遡及会計基準と税務の取り扱いについて」
第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」
第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」
第20回 「税務調査への対応とポイント」
第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」
第18回 「会社清算時の課税の変更について」
第17回 「経営不振の子会社・関連会社の支援を行う場合」
第16回 「出向者給与の取扱い」
第15回 「決算書からわかる経営分析」
第14回 「帳簿書類等の保存について」
第13回 「税金のペナルティーいろいろ」
第12回 「修繕費と資本的支出の区分」
第11回 「事業承継税制 贈与税の納税猶予」
第10回 「役員給与の減額改定について」
第9回 「上場有価証券の税務上の評価損について」
第8回 「欠損金の繰戻し還付制度について」
第7回 「海外子会社配当の益金不算入制度の創設について」
第6回 「証券税制について」
第5回 「交際費等と寄附金」
第4回 「報酬・料金等に係る源泉徴収制度について」
第3回 「中小企業に対する優遇税制について」
第2回 「貸倒損失の税務上の処理について」
第1回 「取締役及び監査役の責任範囲と訴訟リスクについて」

プロフィール

アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

税理士、公認会計士、社会保険労務士など100名を超えるプロフェッショナルが中心となり、クライアントのライフステージに応じたあらゆるニーズに対応したサービスを提供してます。http://www.actus.co.jp/