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税務会計業務のポイント

第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」

サラリーマンなどの給与所得者の方は年末調整にて、個人事業者や高所得者の方は確定申告にて、所得税の年税額を計算することになります。年末調整や確定申告に備えて、所得控除などの項目を見直し、今からでも活用できる節税対策についてぜひご検討ください。

■所得税の計算方法
所得税は、1年間分の各種所得の合算金額から「所得控除」を差し引いて「課税所得」を算出し、それに超過累進の税率を乗じて計算します。各種所得金額を合算するまでは、10種類ある各所得ごとに計算を行います。個人事業主の場合は、年間の事業収入から必要経費を差し引いて「事業所得」を計算し、給与所得者の場合は、年間の給与収入から必要経費に相当する「給与所得控除」を差し引いて「給与所得」を計算します。

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■所得控除による節税対策の具体策
「所得控除」は、その金額が多くなるほど課税所得が減りますので、結果として所得税の節税となります。

節税対策概 要 効果(控除額)
iDeCo(個人型確定拠出年金)
自分で掛金を拠出し、自ら運用方法を選び、将来に掛金と運用益での給付を受ける私的年金制度。税制面で3つのメリットがある。Q1参照
全額
小規模企業共済
個人事業者等のための退職金積み立ての制度。掛金は、月額1,000円から70,000円で設定できる。前納という年払いの制度もある。Q5参照
全額
生命保険料控除
生命保険や個人年金保険、介護医療保険が対象。新契約と旧契約で控除額の計算が異なる。
保険の種類・金額に応じて計算(上限12万円)
地震保険料控除 地震保険料を支払った場合に控除が受けられる。経過措置として、一定の長期損害保険契約等の保険料も控除が可能。
支払った全額(上限5万円)
障害者控除
障害者である本人、同一生計配偶者、扶養親族が対象。身体障害者手帳の交付市区町村の障害者控除対象者認定を受けた方は対象。
27万円(特別障害者40万円、同居特別障害者75万円)
扶養控除
生計を一にする扶養親族が対象。勤務、修学、療養等の都合上別居している場合も含まれ、必ずしも同居要件は不要
38万円等
寄付金控除
(ふるさと納税)
自治体に寄付をして、控除上限額内の寄付合計額から2千円を差し引いた金額が所得税や住民税から還付・控除を受けられる。Q3参照
確定申告した場合、所得税からの還付、住民税から控除
医療費控除 原則として年間10万円超の医療費を支払った方が対象。未払の医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象。
医療費ー保険金ー10万円(上限200万年)
セルフメディケーション税制
特定一般用医薬品等1万2千円超購入した方が対象。一定の健康診査や予防接種などの取組が必要。上記の医療費控除と選択適用。
特定一般用医薬品等合計額ー1万2千円(上限8万8千円)

Q1.iDeCoのメリットを教えてください

A1.iDeCoの税制面でのメリットとして、次の3点が挙げられます。
 ①支払った掛金の全額が所得控除となります。
 ②確定拠出年金制度内の運用益が非課税になります。
 ③受取時に、一時金で受給する場合は退職所得控除、年金で受給する場合は公的年金等控除が受けられます。

Q2.配偶者や扶養者の国民年金や国民健康保険料を支払った場合は、所得控除の対象になりますか

A2.配偶者や扶養親族の国民年金保険料や国民健康保険料を支払った場合は、実際に支払った人の社会保険料控除となります。また、過去に滞納したり、免除を受けたりした保険料を納付した場合も、その支払った年の所得から控除されます。年末調整や確定申告で領収書が必要となるので保管してください。

Q3.ふるさと納税をした場合は、確定申告は必要ですか

A3.ふるさと納税ワンストップ特例制度により、確定申告が不要な給与所得者等で1年間の寄付先が5自治体以内である場合には、各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出することで確定申告が不要となります。この場合、所得税が還付されるのではなく、ふるさと納税を行った翌年の住民税の減額という形で控除されます。

Q4.株式売却損が出た場合は、どのようにしたらいいですか

A4.上場株式等を売却して損が出た場合は、確定申告により配当金や株取引の利益と損益通算することができます。また、その損失を翌年以後3年間繰り越すためには、毎年確定申告を行う必要があります。

Q5.小規模企業共済や倒産防止共済について前納して、今年の節税とすることはできますか

A5.小規模企業共済は、小規模企業の経営者や個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。掛金は全額所得控除できますし、受取る際には退職所得扱いになるなど税制上のメリットがあります。掛金は前納することができ、年内の支払で前納1年分まで、その年の所得金額から控除できます。
倒産防止共済は、取引先の倒産に際して借入を受けられる制度で、掛金は全額必要経費になります。こちらも前納ができます。どちらの場合も、前納に変更する際は事前に申請が必要となり、その申請についても期限がありますので注意が必要です。早めの手続きをお勧めします。

Q6.個人事業者ですが、設備投資に関する所得税の節税策があれば教えてください

A6.個人事業者の方で青色申告をしている方が設備投資をした場合の節税策としては、30万円未満の資産購入が必要経費となる少額減価償却資産の特例や、特別償却や税額控除などの優遇を受けられる中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制などの活用が考えられます。

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バックナンバ

第126回 「令和2年度 税制改正(速報)」
第125回「所得控除の活用による所得税の節税対策」
第124回「年末調整の変更点とポイント」
第123回「海外進出時の税務上のポイント」
第122回「民法改正(相続編)の概要と施行時期」
第121回「節税目的の定期保険等の通達改正について」
第120回「消費税率引き上げ直前の確認事項」
第119回 「役員給与に関する税務のポイント」
第118回 「賃上げ等の促進に係る税制」
第117回 「平成31年3月決算の税務申告のポイント」
第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」
第115回 「法人税に関する2019年税制改正のポイント」
第114回 「平成31年度 税制改正(速報)」
第113回 「電子申告義務化のポイント」
第112回 「中小企業における移転価格税制の基礎」
第111回 「平成30年税制改正で大きく改正された特例事業承継税制について」
第110回 「消費税の軽減税率制度」
第109回 「法人の税務調査の基礎知識」
第108回 「中小企業向け補助金の活用」
第107回 「出向者給与に係わる税務上の取扱い」
第106回 「相続対策で重要な3つの対策」
第105回 「平成30年3月決算の税務申告のポイント」
第104回 「平成30年税制改正:電子申告の義務化とそれに伴う整備」
第103回 「仮想通貨に関する所得税の取り扱い」
第102回 「平成30年度 税制改正(速報)」
第101回 「国際電子商取引に係る消費税の課税」
第100回 「平成29年度税制改正による所得拡大促進税制について」
第99回 「法定相続情報証明制度」
第98回 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」
第97回 「設備投資に対する中小企業優遇税制」
第96回 「積立NISAについて」
第95回 「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の活用」
第94回 「海外勤務者の税務上の留意点」
第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」
第92回 「(確定申告特集)マイホームの譲渡所得について」
第91回 「平成29年税制改正を踏まえた所得拡大促進税制のおさらい」
第90回 「平成29年度税制改正について」
第89回 「ふるさと納税と義援金」
第88回 「平成28年「年末調整」の留意事項について」
第87回 「設備投資に対する優遇措置について」
第86回 「税務調査関連の改正について」
第85回 「租税条約の基礎と実務上の留意点」
第84回 「平成28年度改正でさらに要件緩和されたスキャナ保存制度について」
第83回 「相続税の基礎知識(計算編)」
第82回 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入について」
第81回 「平成28年4月から始まる新税制」
第80回 「平成28年3月決算の申告ポイント」
第79回 「平成27年確定申告のポイント」
第78回 「平成28年度税制改正大綱のまとめ」
第77回 「『国外財産調書』と『財産債務調書』について」
第76回 「マイナンバー制度に関する税務の再確認」
第75回 「贈与税の取扱について」
第74回 「国境を越えた役務提供に係る消費税」
第73回 「税務調査の時期がこれから到来します」
第72回 「役員の登記に関する改正と役員報酬の決定」
第71回 「消費税軽減税率の動向について」
第70回 「マイナンバーで変わる経理と対応費用の取扱いについて」
第69回 「スキャナ保存制度の要件が緩和されます」
第68回 「平成27年3月期決算の税務ポイント」
第67回 「平成26年分確定申告のポイント
第66回 「平成27年度税制改正(速報)」
第65回 「生産性向上設備投資促進税制の特別償却と税額控除のどちらを選択するか」
第64回 「平成28年1月より適用されるマイナンバー制度に備えて」
第63回 「2015年1月より適用される相続・贈与の主要改正点」
第62回 「役員に関する経費の注意点」
第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」
第60回 「消費税8%後に注意すべき事項」
第59回 「生産性向上設備投資促進税制の実務ポイント」
第58回 「所得拡大促進税制の改正ポイント」
第57回 「交際費の枠が4月から広がります」
第56回 「いよいよ3月決算、新税制の適用をお忘れなく」
第55回 「平成26年1月から適用される税制」
第54回 「平成26年度税制改正(速報)」
第53回 「年末調整における平成25年の改正点と注意点」
第52回 「消費税増税に対応する販売戦略について」
第51回 「10月1日、8%消費税増税が決定。同時に税制改正大綱も発表されました。」
第50回 「外国法人・非居住者に対する支払と源泉徴収義務」
第49回 「新年度から適用が始まる法人税制 その3」
第48回 「消費税転嫁対策法の成立で税率引き上げに向けての事前準備を」
第47回 「新年度から適用が始まる法人税制 その2」
第46回 「新年度から適用が始まる法人税制 その1」
第45回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点2」
第44回 「平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点」
第43回 「平成25年度税制改正について(速報)」
第42回「復興特別税 会社の法人税申告における税額控除で注意すべき点」
第41回「2013年から始まる復興特別所得税
     会社における源泉実務で注意すべき点」

第40回 「2012年も年末調整の時期に突入」
第39回 「税務調査手続きが明確に」
第38回 「消費税改正に向けて企業が対処すべき課題とは?」
第37回 「現物給与と隣接経費の取扱い」
第36回 「社会保障と税の一体改革」
第35回 「決算期の変更を行う会社が増えているようです」
第34回 「株主総会終了後の重要な手続きをお忘れなく」
第33回 「調査にも種類はいろいろ」
第32回 「決算前、税効果会計の適用税率に注意」
第31回 「消費税率の引き上げで企業はどうする?」
第30回 「多くの企業に影響のある税制改正はどうなった? ~平成23年税制改正の成立と24年改正大綱の発表~」
第29回 「消費税改正への対応を進めるには・・・」
第28回 「平成23年税制改正で中間申告はどう変わった?」
第27回 「税務当局への相談方法の種類は?」
第26回 「急激な円高進行 為替換算に大きな変動があった際のポイントとは?」
第25回 「消費税95%ルールの見直しは要注意!」
第24回 「6月30日を越えて平成23年税制改正の動向は?」
第23回 「過年度遡及会計基準と税務の取り扱いについて」
第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」
第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」
第20回 「税務調査への対応とポイント」
第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」
第18回 「会社清算時の課税の変更について」
第17回 「経営不振の子会社・関連会社の支援を行う場合」
第16回 「出向者給与の取扱い」
第15回 「決算書からわかる経営分析」
第14回 「帳簿書類等の保存について」
第13回 「税金のペナルティーいろいろ」
第12回 「修繕費と資本的支出の区分」
第11回 「事業承継税制 贈与税の納税猶予」
第10回 「役員給与の減額改定について」
第9回 「上場有価証券の税務上の評価損について」
第8回 「欠損金の繰戻し還付制度について」
第7回 「海外子会社配当の益金不算入制度の創設について」
第6回 「証券税制について」
第5回 「交際費等と寄附金」
第4回 「報酬・料金等に係る源泉徴収制度について」
第3回 「中小企業に対する優遇税制について」
第2回 「貸倒損失の税務上の処理について」
第1回 「取締役及び監査役の責任範囲と訴訟リスクについて」

プロフィール

アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

税理士、公認会計士、社会保険労務士など100名を超えるプロフェッショナルが中心となり、クライアントのライフステージに応じたあらゆるニーズに対応したサービスを提供してます。http://www.actus.co.jp/